酒は飲んでも飲まれるな
御幸の手が股間に触れる。おっきくなってきた、と嬉しそうな声がする。声と同じく嬉しそうに御幸が微笑む。
昨日は、増子さんと亮さんと哲さんが俺の一人暮らしの家に押し掛けてきて、日付が変わると同時にしこたま酒を飲まされた。同量の水をすかさず増子さんが飲ませてくれたおかげか頭痛はないが眠くて仕方がない。
俺を呼ぶ声がするのに目蓋を上げられなくて、気持ちはいいけれどその気にはなれなくて、股間を撫でる手を掴んで違和感を覚える。
御幸は今、二軍で調整中で、俺の二十歳の誕生日も当日一緒に祝ってやれなくてごめん、と珍しく先に連絡が来ていた。しこたま酒を飲まされながら確認したスマフォには、日付が変わってすぐの時間に、珍しくたった一言だけだけど、誕生日おめでとう、とメッセージが届いていた。
そうだ、昨日この部屋に御幸はいなかった。
じゃあ今掴んだ、この手は誰だ?そもそも目を開いていないのに、御幸の笑顔を見たと言う矛盾に気付いて一気に覚醒した。
「なぁんだ、起きちゃったの」
「りょ、亮さん⁈」
ガバリと起き上がり目蓋をこじ開けると、俺の足の上に亮さんが跨って俺の股間に触れていた。掴んだ腕は亮さんの腕だった。